小規模な組織では、プロダクトマネージャーとUXデザイナーの仕事が1つになり、プロダクトの設計も構築もこなして、最高のユーザー体験を目指そうとすることが少なくありません。しかしチームが成長していくと、それらの役割は分割され、それぞれの分野を専任が担当するようになります。
プロダクトマネージャーはプロダクトや機能の全体的な成功に責任を持ち、UXデザイナーはプロダクトや機能のデザイン(ユーザビリティとも呼ばれる)の成功に責任を持ちます。プロダクトマネージャーはプロダクトの要件について考え、優先すべき機能を決定します。UXデザイナーはユーザー視点でプロダクトのレイアウトや動き方を決定します。両者の目標は同じ(最高のユーザー体験を創出すること)ですが、その進め方は異なります。
それでも両者には間違いなく共通の責任があります。それは、どちらも顧客と話をし、プロダクトに関する意思決定の裏付けとなるものを見つけることです。またアイデアをテストし、見直し、要件について議論します。
このように共通する部分があるため、この2つの役割の境界線があいまいになり、それが混乱や静かな「力の争い」につながることもあります。プロダクトマネージャーがUIのアイデアを出すと、デザイナーが顔をしかめ、デザイナーがMVP(実用最小限のプロダクト)の仕様について話し出すと、プロダクトマネージャーがうんざり顔になるといった具合です。しかし本当は、両者が協力してこれらの責任を一緒に果たしていければ、より強く、高い成果を上げられるプロダクトやチームができるはずです。
成功はコラボレーションから生まれる
私がソフトウェアの設計に携わってからもう10年以上が経ちました。その間、さまざまな組織で仕事をしてきました。規模も大小さまざまで、アジャイル組織もあればウォーターフォール組織もあり、機能的な組織もそうでない組織もありました。一緒に働くデザイナーやプロダクトマネージャーも、タイプはさまざまでした。それでも常に変わらない真実が1つありました。それは、この両者の関係性が最も良い形になるのは、そこに真のパートナーシップがあるときだということです。
プロダクトとデザインの役割分担がうまくいけば、その成果は何倍にもなります(もちろん両者も幸せになります)。そうなれば、このコラボレーションで主導権争いをする必要はなくなります。デザインとは「構築または創造しようとするものについて計画および決定を行うこと」です。これは、プロダクトとデザインの両方の役割に当てはまります。
効果的な連携のための3つのステップ
プロダクトとデザインの関係に、同じものは1つとしてありません。個人にはそれぞれに異なるスキル、目標、コミュニケーションスタイルがあり、プロジェクトにはそれぞれに異なる要件、チーム文化、背景があります。プロダクトマネージャーとデザイナーはどちらもそれに合わせて改善を続けていく必要がありますが、そこにパートナーシップの成功の秘訣がないわけではありません。
1. 会話を育む
最初の重要なステップは、プロダクトマネージャーとUXデザイナーの間で会話を始め、両者の役割の重複する部分を認識することです。どちらのチームのメンバーも内々で問題点を感じていても、それを言葉にすることがなかったかもしれません。場合によってはその問題点に気づいていないこともあるでしょう。2つの役割がお互いの邪魔をしているかもしれないと認識するというこの単純な行為が、より協力的で効果的な関係の基礎を築く助けになるものです。
2. 重複部分を洗い出す
次に、どこで役割が重複しているのかを正しく理解していく必要があります。ベン図を描いてもよいし、単純にお互いの役割で一般的にやるべきことをリストアップしていってもよいでしょう。そのうえで、プロジェクトベースか、より広い範囲で、共通の要素があるかどうかを確認していきます。そうすることで、誰がどの仕事に責任を負っているのか、またそれが交差する部分(および協力できる部分)がどこにあるのかを可視化していくことができます。
3.コラボレーションの領域を確立する
プロダクトマネージャーとUXデザイナーが責任を共有している部分がわかったら、それを両者の仕事の進め方を改善する機会だと考えましょう。そうしてプロダクトマネージャーとデザイナーが協力できる領域を特定していきます。それがプロダクトの開発ライフサイクルの特定の時点であることも、プロダクトの特定の機能であることもあるでしょう。